センター長挨拶

東北大学金属材料研究所
量子エネルギー材料科学国際研究センター

センター長 永井康介

東北大学金属材料研究所附属量子エネルギー材料科学国際研究センター(通称 大洗センター、旧材料試験炉利用施設)は、全国大学共同利用施設として設置以来40年以上にわたり、我が国の大学を中心とする研究者に、原子力関係材料の研究に欠くことのできない放射化試料やアクチノイド元素の実験場所を提供し、関連する分野において主導的な立場を築いてきました。 これは材料試験炉(JMTR)をはじめとする各種の設備や技術を提供して頂いた日本原子力研究開発機構、センターの共同利用研究を行ってこられた各大学等の研究者、その他多くの方々のご協力によって達成することが出来たものです。

現在大洗センターでは、発電用原子炉の構造材料の照射による劣化の機構解明のための研究、高速炉や核融合炉のような将来のエネルギー源のための新材料開発やその基礎研究、アクチノイド系(5f 電子系)新物質・新物性の探索、新型核燃料の開発、放射化分析などの幅広い研究が行われており、多くの成果が挙げられてきました。

一方、2011年3月の東日本大震災にともなう福島第一原子力発電所事故以来、原子力材料関連研究に対する環境は大きく変わりました。従来に増して、安全・安心に寄与する研究や廃炉に向けた研究などに社会的ニーズが強まるとともに、原子力の将来に必要不可欠な人材育成の重要性が認識されるようになりました。しかしながら、国内の研究炉は全て停止しており(平成27年4月現在)、原子力材料研究にとって根幹をなす中性子照射場を代替の海外炉を利用する状況が続いています。  また、時期を同じくして、大学ではわが国の原子力黎明期を経験された先生方からの世代交代を迎えるとともに、放射線同位元素や核燃料物質を扱う共同利用研究施設を預かる立場からは、安全な管理運営により多くの人的・予算的資源が必要となっています。

大洗センターはこのような大きな変化に適切に対応するとともに、狭義の原子力材料研究に留まることのない新しい研究にも視野を広げ、世界的にも有数なホットラボと先端分析・物性計測能力を兼ね備えたセンターの特徴ある設備を活かし、研究者コミュニティーに貢献していきたいと考えております。

今後とも、皆様のご支援、ご鞭撻を賜わりますようお願い申し上げます。

実験設備 研究課題申請大洗における宿泊施設
共同利⽤予定表