放射化試料のTEM内その場照射後焼鈍試験法の開発

 -原子炉圧力容器脆化メカニズムの素過程の発見-

原子炉圧力容器(Reactor Pressure Vessel: RPV)の健全性評価では、中性子照射によって生じる様々な格子欠陥が脆化にどのように機能しているのかを明らかにする必要があります。

 

東北大学・島根大学・日本原子力研究開発機構・ベルギー王立原子力研究所の研究グループは、格子欠陥定量解析法として極めて高い計測精度を誇るウィークビーム走査透過電子顕微鏡(WB-STEM)の中で放射化試料を焼鈍試験するための新しいカートリッジ式二軸傾斜加熱ホルダーを開発しました。カートリッジ式の加熱炉の温度計測と電流制御を完全自動化し、高い信頼性の温度履歴と一緒に転位組織の変化を動的に計測できることを確認しています。さらに、欧州炉RPV監視試験片についてWB-STEM内その場等温焼鈍試験を行い、従来のオロワン型硬化機構と同時に転位ループによる転位のデコレーション機構が生じることを発見し、学術誌に報告しています。

詳細は以下の学術誌をご覧ください:

1)  Microscopy, 68 (2019) 271.

2) Materialia,12,(2020)100778.

 

 

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